【授業表題】 |
危機の時代の怪物たち |
【授業の形態・方法・内容】 |
古代ギリシアの変身物語、古代ゲルマンのバーサーカーに起源をもつヨーロッパの狼男は、中世・近世にそのイメージを変容させつつ発展した。宗教戦争と魔女狩りの時代には、大勢の狼男たちが「出現」し、処罰されている。その後狼男は現実の世界からは姿を消すものの、近代ロマン主義の作家たちにインスピレーションを与えた後、活躍の舞台を映画に移し、今では世界中の人々の想像力に爪痕をのこしている。21世紀の現在、狼男はゲームやアニメの世界で大暴れしている。狼男がその姿を現すのは、戦争や疫病などの危機をきっかけとして、既存の秩序が揺らぎ、コミュニティのあり方、他者との関係、自然と人間が問い直される時代であるが、ウィズ・コロナ時代というべき現在は、正にそうした「危機の時代」である。狼男をめぐる歴史研究は日本でも阿部謹也や池上俊一といった学界を代表する研究者によって行われているものの、依然として未開拓の分野である。本講義ではウィズ・コロナの時代状況を見据えた、新しい狼男論を提示したい。
なお、この授業は対面授業で実施する。ただし、新型コロナウイルス感染の状況等の事情により遠隔授業に移行する場合は、C型で実施する。
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【到達目標】 |
狼男を中心にヨーロッパ史に関する知識を身につけること、レポート作成を通して問題発見と分析する能力を身につけることを目標とする。この目標達成のために、関連する研究文献を読み、独自の視点から内容を要約し、批判的に論ずることを課題とする。 |
【この授業科目とディプロマポリシーに明示された学修成果との関連】 |
(全学 DP2)幅広い教養と外国語に関する基本的な知識・能力 |
【事前・事後学習】 |
毎週の授業の前にレジュメにある専門用語を調べるなどして、理解の前提となる知識を得ておくこと。また、毎回課されるレポートを執筆し、manabaに提出すること。「学則」上、この科目は「講義」科目にあたるため、授業時間外に行う事前事後学習に要する時間は4時間程度となる。 |
【授業計画】 |
第1回 |
ガイダンス:危機の時代と怪物たち
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第2回 |
狼とヨーロッパ世界
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第3回 |
狼男のルーツ①:リュカオーンと変身物語
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第4回 |
狼男のルーツ②:北欧世界のバーサーカー
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第5回 |
中世ヨーロッパにおける狼男①:騎士道文学と狼男
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第6回 |
中世ヨーロッパにおける狼男②:「平和喪失者」と狼男
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第7回 |
狼男と野人:幻想世界の兄弟たち
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第8回 |
狼男、続々登場!:近世ヨーロッパの危機と狼男
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第9回 |
人肉食(カニバリズム)と狼男:インディオと狼男
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第10回 |
宗教改革と狼男:民衆世界の想像力
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第11回 |
魔女狩りと狼男
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第12回 |
戦争と狼男:狼男 vs.リヴァイアサン
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第13回 |
近現代ヨーロッパにおける狼男①:ロマン主義文学と童話
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第14回 |
近現代ヨーロッパにおける狼男②:ホラー映画と精神分析
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第15回 |
まとめと確認
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第16回 |
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第17回 |
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第18回 |
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第19回 |
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第20回 |
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第21回 |
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第22回 |
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第23回 |
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第24回 |
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第25回 |
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第26回 |
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第27回 |
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第28回 |
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第29回 |
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第30回 |
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【評価方法】 |
平常点(100%):毎回授業テーマと関連したレポートを課す。提出されたレポートの評価をもとにして成績評価を行う。レポートについて毎回次の授業でコメントし、フィードバックを行う。 |
【教科書】 |
なし。毎回レジュメを配布する。 |
【参考文献】 |
池上俊一『中世幻想世界への招待』河出書房2012年。
阿部謹也『中世の星の下に』筑摩書房2010年。
阿部謹也『中世賤民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅』筑摩書房2007年。
セイバイン ベアリング=グールド(ウェルズ/清水訳)『人狼伝説―変身と人食いの迷信について』人文書院2009年。
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【特記事項】 |
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【開講期・曜日時限・ペア・教員名】 |
開講期・曜日時限が下記の表で示されていますが、履修できる曜日時限は学年・学科等により異なる場合があります。自分の「履修登録」画面に表示される曜日時限のみ履修登録することができます。 |
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