教養ゼミ(日本文学)
大岡 玲 
単位: 2 開講期: 2期 開講年度: 2022
閉じる
【授業表題】
夏目漱石の『坊っちゃん』を精読する。
【授業の形態・方法・内容】
近代日本文学における「国民的作家」といえば、やはり夏目漱石にまず指を屈することになるだろう。すでに没後百年を超えたが、単に文学史的に高名であるばかりでなく実際に多くの人が彼の作品を読んでいる。中でも、デビュー後二作目の『坊っちゃん』は、その早い晩年の代表作『こゝろ』と並んで国語の教科書にも抜粋掲載されるほどの人気を誇っている。

本ゼミでは、「勧善懲悪」的な痛快さに満ちた、とも評される『坊っちゃん』をあらためて精読することにより、そうした見方が正当な評価であるのかどうか、また、漱石の作家としての資質がどのようにこの作品に露出しているか、さらには、「近代日本の出発」という歴史的状況がどのように本作に映りこんでいるか、などなどの諸問題を解析することにしたい。

授業形態としては、作品を各受講生に章ごとに精読してもらう(一回の授業で一章見当)。
授業は、受講生を指名して意見を聞く形式である。まずはじめに、精読した章の要約をしてもらう。その後、作品理解に必要な事柄についての質問と解説をし、そして作品内容についての解析を受講生諸君ひとりひとりに問いかけ、議論をするという形を取ることになる。指名された受講生諸君は、恥ずかしがらずに思うところを自由に発言してもらいたい。どんなことであっても、そこには必ず興味深い視点があらわれるはずである。

授業は原則対面で行うが、状況により対面授業が遠隔授業に変更になる可能性もある。その場合には、C型の授業形式になる。

受講生へのフィードバックは、受講時の質疑応答、そして最終的に提出してもらうレポートへの評によって行う。
【到達目標】
到達目標は、『坊っちゃん』という作品の解析を通じて、自己の心性を客体化する方法論を身につけることである。
【ディプロマポリシーとの関連】
この科目は、「教養」に関する「基本的な知識と能力」を身につけるための科目である(全学DP2)。
【事前・事後学習】
受講前に、夏目漱石についての基本的情報を勉強し、作品のいくつかに目を通しておくことがのぞましい。
授業前には『坊っちゃん』の指定されている箇所をしっかり読みこみ、わからない単語や時代背景についての下調べをしておくことは必須である。筋立ての背後にひそむ作者の意図について想像をめぐらすことも重要である。
授業後には、作品に関する情報や議論を整理し、復習しながら考えを深めるようにする。他の受講生の発言や教員の解説などを踏まえ、作品内容に関する疑問点等も追究し、以降の授業に備える。

事前・事後学習全体で、週に4時間程度の学習時間が必要である。
【授業計画】
第1回 評価方法等のガイダンスの後、受講生各人に夏目漱石の作品を読んだことがあるかどうか確認する。その後、作家・夏目漱石の文学史的評価についての情報と、漱石の生涯に関する概説的説明を行う。
第2回 『坊っちゃん』の第1章を読み、解析する。
第3回 第2回に引き続き、第1章で設定された主人公「坊っちゃん」のキャラクター分析をする。      
第4回 『坊っちゃん』の第2章を読み、解析する。
第5回 『坊っちゃん』の第3章を読み、解析する。
第6回 『坊っちゃん』の第4章を読み、解析する。
第7回 『坊っちゃん』の第5章を読み、解析する。
第8回 『坊っちゃん』の第6章を読み、解析する。
第9回 『坊っちゃん』の第7章を読み、解析する。
第10回 『坊っちゃん』の第8章を読み、解析する。
第11回 『坊っちゃん』の第9章を読み、解析する。
第12回 『坊っちゃん』の第10章を読み、解析する。
第13回 『坊っちゃん』の最終章を読み、解析する。
第14回 『坊っちゃん』で作者が表現しようとしたこと、さらには作者の意図を超えて無意識的に表出した事柄について議論をする。
第15回 全体講評および最終課題のレポートについて説明する。
【評価方法】
平常点プラス提出物で評価する。具体的には、授業中指名された時の要約・解釈、教員の質問事項への応答内容などを総合的に評価する。評価の方法が平常点重視(80%)なので、最低八割程度出席しなければ必然的に評価不能になるので要注意。提出物は、作品の批評文とする。特に優れたレポートについては、20%の割合を超えて評価する場合もある(コピー&ペーストは、もちろん不可)。
【教科書】
『坊っちゃん』夏目漱石(新潮文庫版)を購入すること。新潮文庫を指定するのは、くわしい注釈があることと、授業中にページ番号で内容を説明するため同一の版が望ましいからである。生協にゼミの人数分を発注するので利用してもらいたい。
【参考文献】
必要があれば、その都度指示する。
【特記事項】
国語辞典(電子辞書でよい)は必須なので、授業時は手元に用意しておくこと。
【開講期・曜日時限・ペア・教員名】
開講期・曜日時限が下記の表で示されていますが、履修できる曜日時限は学年・学科等により異なる場合があります。自分の「履修登録」画面に表示される曜日時限のみ履修登録することができます。

開講期 曜日時限 ペア 教員名
2期 火3 大岡 玲