身体表現ワークショップ
安斎 利洋 
単位: 4 開講期: 2期 開講年度: 2022
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【授業表題】
仮想身体ワークショップ
【授業の形態・方法・内容】
 人間がはじめて道具に出会ったとき、たとえばはじめて棒を手にしたとき、またはじめてスマホを手にしたとき、人間はその都度あたらしい身体の拡張を手に入れてきました。しかしいったん身体化した道具は、透明になり注意の対象から消えます。
 この授業は、習慣化した身体概念を疑うところから出発するワークショップです。仮想空間、ロボット、人工知能などがつくる環境は、いままで自明だった「自分」と「自分の身体」の一対一関係を揺るがしはじめています。ここであらわれる「あたらしい身体」を、体験し、実験し、構想します。
 コロナ禍はまさにそのような試練として、私たちの身体に変更を強いてきました。制約のなかで拡張する身体は、この講義の主題の一部です。状況によって実空間での身体的なワークショップが実現できない場合もありえますが、その場合は仮想空間でのワークショップに切り替え、困難な状況そのものを取り込んでいきます。
 メディア・アーティストをゲストとして招き、試行錯誤しながらワークショップを設計していきます。学生はたんなる参加者として体験を受け取るだけでなく、アーティストとともに作品が生まれる環境を作るスタンスで臨む当事者性が要求されます。写真、映像、音楽、パフォーミングアート、メディアアート、ファッションなどの制作に関心があり、創作の幅を広げたい人を特に歓迎します。

途中遠隔授業に変更された場合、C型(Zoom、VRを用いた遠隔ワークショップ)で授業を実施します。また、対面・遠隔にかかわらず作業空間のベースとしてSlackを活用し、授業形態の切り替えに柔軟に対応していきます。
【到達目標】
・ワークショップを通して、アーティストの思考と方法を学ぶ。
・ワークショップ・ファシリテーションの技術を学ぶ。
・創造的な場のデザイン、ワークショップ・デザインの方法を学ぶ。
・コラボレーションのなかで、自分のアイデアを表現し伝達する技能を磨く。
・以上を通して、コミュニケーションの出発点としての身体性を踏まえた他者や他文化との対話力を養う。
・以上の目標を達成させるため、ワークショップの成果についてその都度フィードバックを行う。また、講義全体のまとめとして作品講評会を行う。
【ディプロマポリシーとの関連】
・ワークショップを通して、アーティストの思考と方法を学ぶ(DP1)。
・ワークショップ・ファシリテーションの技術を学ぶ(DP4)。
・創造的な場のデザイン、ワークショップ・デザインの方法を学ぶ(DP3)。
・コラボレーションのなかで、自分のアイデアを表現し伝達する技能を磨く(DP5)。
・以上を通して、コミュニケーションの出発点としての身体性を踏まえた他者や他文化との対話力を養う(DP2)。
【事前・事後学習】
ワークショップの準備や作品制作のため、授業時間の2倍程度の事前・事後学習時間が必要です。
【授業計画】
第1回 導入 講義全体の見取り図
第2回 VRカンブリアン 仮想空間に作る連想の木
第3回 触覚的自我 1 コウモリであるとはどのようなことか
第4回 触覚的自我 2 はじめから視覚がない仮想人類の描く自画像
第5回 ソーシャル・ディスタンス・ゲーム
第6回 絶滅のあとに 1 初めて棒切れと出会った猿として
第7回 絶滅のあとに 2 木炭との遭遇
第8回 絶滅のあとに 3 発光生物の環世界
第9回 触覚的自我 3 作品分析
第10回 宇宙際アンサンブル 1 音楽のミームを捨て音響ジャングルを作る
第11回 宇宙際アンサンブル 2 時間感覚の違う異星人と共有する音楽
第12回 宇宙際アンサンブル 3 人間中心主義の外側へ
第13回 グループ作品制作 1 プロトタイピング
第14回 グループ作品制作 2 作品制作作業
第15回 グループ作品制作 3 多様欠コンペ 講評
【評価方法】
授業参加状況40点、ワークショップへの貢献30点、作品成果30点の合計点によって評価
【教科書】
なし
【参考文献】
なし
【特記事項】
・表現と批評2022-1「可能人類学」(1期)とテーマが関連します。両方の履修を勧めますが必須ではありません。
・授業計画は告知のうえ逐次変更します
・成果はウェブに公開します。
【開講期・曜日時限・ペア・教員名】
開講期・曜日時限が下記の表で示されていますが、履修できる曜日時限は学年・学科等により異なる場合があります。自分の「履修登録」画面に表示される曜日時限のみ履修登録することができます。

開講期 曜日時限 ペア 教員名
2期 水3 水4 安斎 利洋