総合教育演習
高井良 健一 
単位: 4 開講期: 通年 開講年度: 2022
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【授業表題】
ライフヒストリーの教育学―人生から学ぶ―
【授業の形態・方法・内容】
 本ゼミナールは,ライフストーリー・インタビューによって,恩師の人生の物語を聞き取り、これをもとにライフヒストリーの作品を書き上げることを中心的な課題とする教育学のゼミナールである。本ゼミナールでは,一年をかけて個人での作品の執筆を行う一方で、毎回のゼミでは、受講生が関心をもっている教育諸問題についての議論と探究も行う。ゼミの活動内容は以下の通りである。
 前期には,前年度のゼミ冊子ならびに教育学の論文を読み,教育や社会に関わるさまざまなテーマについてのディスカッションを行う。そして,インタビューならびにライフヒストリーの方法を学び,研究計画を作成する。続いて,夏休みにインタビューを行う。これまでの研究対象は,小中高時代の恩師がもっとも多いが,子どもを育てたり,未来をつくる仕事にかかわっている人であれば,これに限るものではない。
 後期には,インタビューのデータを文書化したのち,ライフヒストリーの作品を作成し,ゼミで発表する。続いて,発表した作品を,ゼミの発表の際のコメントを参考にリライトして,完成させる。そして,冬合宿で校正・編集作業を行い,最終的にはゼミ冊子としてまとめる。また,毎回の授業において,ゼミ生の発表に対するフィードバックを行う。
 本ゼミは,インタビューのアポイントメント,インタビュー,インタビューのトランスクリプトの作成,ライフヒストリーの作品執筆,研究発表,作品の加筆・修正,ゼミ冊子の校正と編集という一連のプロセスを通して,コミュニケーションから文章構成,プレゼンテーションといった総合的な知力を育てることを目的としている。その上で,尊敬する他者の人生と格闘することにより,自分のこれまでの歩みと現在、そしてこれから築いていく人生と向き合い,自分の成熟のイメージを探ることも目指している。作品を創り上げたときの達成感と温かいゼミの雰囲気は約束するが,それはゼミ生一人ひとりの真摯で誠実な学びを前提としていることもつけ加えておきたい。
 なお,感染状況等により遠隔授業になった場合には、C型(リアルタイム配信される授業に参加する形式)にて授業を実施する。
【到達目標】
 この科目は,「教養」に関する「基本的な知識と能力」を身に着けるための科目である(全学DP2)。その上で,本ゼミナールでは,本学のディプロマポリシーである社会科学に関する専門知識・能力(全学DP1)ならびに幅広い教養(全学DP2),現代社会における諸問題を発見・分析・解決する実践的な知識・能力(全学DP3),そして,これらの知識・能力に裏付けられた総合的な判断力と行動力(全学DP4)を育むために,以下の到達目標を設定している。
 到達目標は,他者の人生を探究することを通して,教育ならびに現代社会についての自らの鑑識眼を高めることである。より具体的には,この授業では,作品づくりの過程で,教養に関する基本的な知識と能力を身につける。さらには、教育・社会に関わるさまざまな問題を論じるための一貫性のある枠組み(フレーム)を身につける。そして,最終的には,教師や教育の専門家として生涯にわたって成長し続けるための教育と学びのヴィジョンと方法を身につけることを目指している。 
【ディプロマポリシーとの関連】
 この科目は、「教養」に関する「基本的な知識と能力」を身につけるための科目である(全学
DP2)。
【事前・事後学習】
 受講生は,ゼミの各回において,事前にテキストや受講生のライフヒストリーの作品,インタビューの記録を熟読して,参加することが求められる。ゼミ・ブログの執筆も年に数回廻ってくる。また,インタビューのテープ起こしや作品を創るために,ゼミの時間外にまとまった作業や執筆のための時間を準備することが必要である。具体的には,毎週2時間程度の予習と,インタビューのテープ起こしに30時間,作品の執筆のために30時間が目安として求められる。ここから換算すると,授業時間外に行う事前事後学習に要する時間は4時間程度となる。「大学設置基準」上,この科目は「演習」科目にあたり,上記の事前事後学習時間は,この要件を満たしている。
【授業計画】
第1回 (前期)オリエンテーション(1)―ゼミの学びのヴィジョンとメンバーの紹介―
(後期)インタビューと作品づくりの報告
第2回 (前期)オリエンテーション(2)―ゼミの1年間の活動について―
(後期)授業から学ぶ(1)―子どもの声を聴くこと―
第3回 (前期)カンファレンス-聴くことと語ること
(後期)授業から学ぶ(2)―学び合いを創る―
第4回 (前期)自分史を作成する(1)―学校経験の振り返り―
(後期)授業から学ぶ(3)―教室文化を育てる―
第5回 (前期)自分史を作成する(2)―自分の核を探る―
(後期)教師のライフヒストリーの作品を発表する(1)
第6回 (前期)『教師のライフヒストリー(21)』を読む(1)
(後期)教師のライフヒストリーの作品を発表する(2)
第7回 (前期)『教師のライフヒストリー(21)』を読む(2)
(後期)教師のライフヒストリーの作品を発表する(3)
第8回 (前期)『教師のライフヒストリー(21)』を読む(3)
(後期)教師のライフヒストリーの作品を発表する(4)
第9回 (前期)ライフヒストリーのためのPC講座
(後期)教師のライフヒストリーの作品を発表する(5)
第10回 (前期)ディスカッション(1)―教育格差をどう考えるか―
(後期)教師のライフヒストリーの作品を発表する(6)
第11回 (前期)ディスカッション(2)―これからの学校教育のヴィジョン―
(後期)教師のライフヒストリーの作品を発表する(7)
第12回 (前期)ディスカッション(3)―これからの教師に求められること―
(後期)教師のライフヒストリーの作品を発表する(8)
第13回 (前期)教師の人生から学ぶ(1)
(後期)教師の人生から学ぶ(2)
第14回 (前期)ライフヒストリーの研究計画書を検討する(1)
(後期)ゼミ冊子の編集
第15回 (前期)ライフヒストリーの研究計画書を検討する(2)
(後期)一年間のゼミ活動の振り返りとまとめ
【評価方法】
 平常点(毎回のゼミへの参加・合宿等のイベントへの参加・ゼミでの発表ならびにコメント(50%)、ライフヒストリーの作品づくり・発表ならびにゼミ冊子づくり(50%)で総合的に評価する)
*受講生のトランスクリプト作成、ライフヒストリー作成のモニタリングやフィードバックは,毎回のゼミで継続的に行う。
【教科書】
・『教師のライフヒストリー(21)』東京経済大学高井良ゼミナール 
【参考文献】
・『教師のライフストーリー-高校教師の中年期の危機と再生』高井良健一(勁草書房)
・『「協働の学び」が変えた学校』金子奨・高井良健一・木村優(大月書店)
・『インタビューの社会学―ライフストーリーの聞き方―』桜井厚(せりか書房)
・『ライフヒストリーの教育学』グッドソン&サイクス著・高井良健一&山田浩之ほか訳(昭和堂)
・『教育学年報(1)~(10)』佐藤学ほか編著(世織書房)
・『専門家として教師を育てる-教師教育改革のグランドデザイン』佐藤学(岩波書店)
・『学校を改革する』佐藤学(岩波ブックレット)
・『カリキュラムの批評』佐藤学(世織書房)
・『教師というアポリア』佐藤学(世織書房)
・『学びという快楽』佐藤学(世織書房)
・『公立中学校の挑戦-授業を変える学校が変わる』佐藤 雅彰・佐藤 学 (ぎょうせい)
・『中学校における対話と協同-「学びの共同体」の実践』佐藤 雅彰 (ぎょうせい)
・『学びの心理学』秋田喜代美(左右社)
【特記事項】
 毎回のゼミへの出席は必須である。また,欠席の場合は連絡が必須である。新型コロナウイルスの感染状況次第だが,例年は,ゼミコンパや合宿を開催している。ゼミのイベントについて,日程の調整や各自の事情についての配慮は行うが,原則として全員参加としている。
【開講期・曜日時限・ペア・教員名】
開講期・曜日時限が下記の表で示されていますが、履修できる曜日時限は学年・学科等により異なる場合があります。自分の「履修登録」画面に表示される曜日時限のみ履修登録することができます。

開講期 曜日時限 ペア 教員名
通年 火5 高井良 健一