国際社会とダイバーシティb(特別授業)
李 杏理 
単位: 2 開講期: 2期 開講年度: 2020
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【授業表題】
国際社会とダイバーシティb――ジェンダーと人種――
【授業の形態・方法・内容】
 授業は、原則として A 型(manaba 使用)で行い、履修者全員のネット環境と 端末が十分であることが確認できれば、期間途中で B 型(クラウドで20分程度の録画動画を視聴)を組み合わせます。

 本講義は、差異が自然化されることで差別が維持されてきた歴史的プロセスと社会関係について、ジェンダーと人種/民族を中心に考察する。
 ジェンダー概念は、近代市民革命による「市民」「国民」「人権」という枠から取りこぼされた問題を明らかにしてきた。ジェンダーとはさしあたり、身体的な差異に女や男といった意味を与え、社会的な関係をつくる装置のことである。人種/民族については前期のグローバルな視点を踏まえ、後期は日本のなかの外国人と在日朝鮮人を事例に見ていく。
 また、ジェンダーと人種のなか/ほかにも、セクシュアリティ(性的欲望のあり方)、階層/経済的地位、能力/障害といった交差性(Intersectionality)が存在する。これらの差異は歴史的にどのような社会秩序をもたらし、国際社会においてどのような問題提起がなされてきたのか。近年の研究や社会運動、国際動向を適宜参照し、ダイバーシティをめぐる歴史的かつ批判的視座を養う。
【到達目標及びディプロマポリシーとの関連】
①ジェンダー研究の概説的な知見を習得する。
②現代の〈性〉にまつわる現象と社会規範について基礎知識を得る。
③〈性〉の現象について、社会的・歴史的背景のみならずそれを成り立たせている文化や個々人の認識を分析する視角を身につける。
④期末レポートで実証・理論・文芸批評(文学・映画・絵画等)を複数参照の上、独自に論究することが単位修得の要件。
【事前・事後学習】
事前:「ジェンダー」「雇用機会均等法」「ハラスメント」「LGBT」「SOGI」「在留外国人」「移民」「在日朝鮮人」などについて、関連する新聞記事や文献などに可能な限り目を通すこと。
事後:講義で配布された資料の統計データおよび引用文献を再読し、理解できなかった点は調べるか、適宜質問すること。とくに関心のある問題については期末レポートで論述の根拠となる参考文献を探しておくこと。
「大学設置基準」上、この科目は「講義」科目にあたりますので、授業時間外に行う事前事後学習に要する時間は4時間程度となります。
【授業計画】
1. イントロダクション
2. ジェンダーとは何か?(1)―—性の多様性
3. ジェンダーとは何か?(2)――性の多様性
4. 身近にどんなジェンダー規範があるか?――家族とジェンダー
5. 性差別はなくなったのか?――雇用とジェンダー
6. 女性解放運動・男性解放運動とは何か?――歴史的プロセス
7. 男女共同参画がもたらしたものとは?――政策とジェンダー
8. クィアとは何か?――理論と運動の軌跡
9. 性の自己決定権とは?――性暴力・DV・性犯罪
10. フェミニズムは何を周辺化してきたか?――第三世界フェミニズムの問題提起
11. 生まれにもとづく差別はなくなったのか?――人種とジェンダー
12. 国民とは何か?――近代日本の形成とエスノセントリズム
13. 「慰安婦」問題が問うたものとは?――戦争・帝国主義とジェンダー
14. 優生思想とは何か?――能力・障害とジェンダー
15. 来るべき世界のための思考とは?――差別廃絶をめぐる世界の動き
【評価方法】
①講義感想 (感想および質問の内容を総合的に評価する) 15%
②中間レポート 指定した映像リストから映評(3000字程度) 15%
③期末レポート 参考文献・作品を3つ以上を踏まえたレポート(7000字程度) 70%
【教科書】
特定のものは使用しない。教員作成の資料をもとに進行する。
【参考文献】
ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの』堀田碧訳、新水社、2003年。
加藤秀一『はじめてのジェンダー論』有斐閣、2017年、ほか授業中提示。
【特記事項】
性的・暴力的描写や差別言動を含む映像資料を使用することがある。(参考資料全ての視聴は義務ではない)
講義感想は、ランダムに抽出した3回分の感想を平常点の評価対象とする。
【開講期・曜日時限・ペア・教員名】
開講期・曜日時限が下記の表で示されていますが、履修できる曜日時限は学年・学科等により異なる場合があります。自分の「履修登録」画面に表示される曜日時限のみ履修登録することができます。

開講期 曜日時限 ペア 教員名
2期 火1 李 杏理