教養入門(水2)
榎 基宏、大貫敬一、早尾貴紀 
単位: 2 開講期: 1期 開講年度: 2017
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【授業表題】
常識を問い直す
【授業の形態・方法・内容】
 「教養」は大学での学習の基礎であるだけでなく、自律的で自由な人格を形成するための土台でもある。この授業では、いま求められている「教養」の意味について、3名の教員が、各々の問題関心や専門領域を切り口として、交代で論じていく。受講者は、講義の内容を通じて、今後、大学や社会との接点で自分なりに考えるきっかけ作りと訓練にあててほしい。

担当教員と講義テーマは、以下を予定している。
*( )内は当該教員が本学で担当する主な授業名、もしくは主な専門領域を表す。

1.榎 基宏(自然の構造、物理学・天文学):
 寺田寅彦のエッセイを読み、自然と人間の関係について考える。寺田は第二次世界大戦前に活躍した物理学者であるが、文学や芸術に造詣が深く、一般向けに分かりやすく科学を解説したエッセイを多く書き残した。この講義では、災害と自然と人間をテーマとした寺田のエッセイをいくつか読み、寺田が指摘する「災害について一般にイメージされることや常識とされることと、現実の災害で起こったこととの違い」に注目し、災害を通して見た、「自然界の現象」と「人間界の現象」の関係について考えていくこととする。

2.大貫 敬一(心理学):
 心理学とはどのような学問か、その基礎的な考え方を知ることを目的とします。いわゆる通俗心理学では、心理学とは人の心を“読む”ことだと考えられていたり、結論だけが“おもしろく”語られたり、“当たっている”と占いのように受け止められることがあります。しかし、心理学は基本的に科学としての性質を持っています。心の中は見えないので自然科学における実証とは異なりますが、いくつかの具体例を挙げて、心理学が心をどのように「実証」しようとするのかを取り上げます。その上で、言葉や行動、絵や夢などのイメージ、その人の歴史などから「人を理解する」方法のいくつかを取り上げます。最後に、心理学の知識がいかにして「教養」となりうるかを問題にします。

3.早尾貴紀(世界政治論):
 パレスチナ/イスラエル問題を通して、近現代史を再考する。『2000年来の宗教対立』や『聖地の奪い合い』といったような二つの民族が敵対しているかのような報道が繰り返されているが、果たしてそれは史実と現実に照らしてどれだけ歪んでいるのか。日本に住む私たちとは無関係な別世界の紛争のように語られるが、本当にそうなのか。第一次・第二次世界大戦を経て、また戦後の世界秩序のなかで、ユダヤ人問題やパレスチナ問題がどのように発生・展開していったのか、同時代の日本はどのように関わってきたのかを確認しつつ、また紛争報道の妥当性を検証する。
【到達目標及びディプロマポリシーとの関連】
この科目は、「教養」に関する「基本的な知識と能力」を身につけるための科目である。

1.大学における専門課程の学習の土台を成す「教養」の基本的な考え方、活かし方とその重要性を理解する。
2.「教養」が現在の重要な社会的課題と密接に結びついていることを理解し、学問と社会のかかわりについて認識する機会とする。
【事前・事後学習】
 各担当教員が講義中に配布した資料については、次回までにその資料全体を受講者各自がもう一度通読し、前回講義内容を自分なりに整理しておくことを最低限の復習課題とする。また次回講義用に配布した資料についても、同様に次回講義までに通読をして授業に臨むこと。
なお、「大学設置基準」上、この科目は「講義」科目にあたるので、授業時間外に行う事前事後学習に要する時間は4時間程度となる。
【授業計画】
3つのクラスに分かれるが、3クラス合同で授業を行うこともある。

・第1回は、3クラス合同でオリエンテーション。
・第2回以降は、3つのクラスに分かれ、3名の教員が4回ずつ講義を行う。担当教員順はクラスにより異なる。
・その間に、ゲスト講師の講演を3クラス合同で聞く。
・最終回(第15回)では、全体のまとめとして、3クラス合同で教場レポートを課す。
・クラスごとの詳細な授業日程については、第1回目のオリエンテーションで周知する。

以下は、あるクラスの例である。

第1回 オリエンテーション (3クラス合同)
第2回 榎担当1回目:「災害に対する人間の心理と行動」について考える
第3回 榎担当2回目:「事実を正しく認識すること」について考える
第4回 榎担当3回目:「デマを見破る科学的方法」について考える
第5回 榎担当4回目:「災害を防ぐにはどうしたらよいか」を考える 
第6回 大貫担当1回目:科学としての心理学
第7回 大貫担当2回目:心理学における「理論」と「実証」
第8回 大貫担当3回目:「人を理解する」①-言葉と行動
第9回 大貫担当4回目:「人を理解する」②-絵と夢/心理学の知識と教養
第10回 ゲスト講師講演 (3クラス合同)
第11回 早尾担当1回目:パレスチナ/イスラエルの語られ方、イメージ
第12回 早尾担当2回目:第一次世界大戦の衝撃、帝国主義の問題
第13回 早尾担当3回目:戦後イスラエル建国という出来事、パレスチナ難民の発生
第14回 早尾担当4回目:「和平交渉、和平合意」とは何か、国際社会の欺瞞
第15回 まとめ・教場レポート (3クラス合同)
【評価方法】
1.平常点:3名の担当教員が自己の担当授業についてそれぞれリアクションペーパー、小テスト、レポート等を課し、その成績を25点満点で評価する。(25点×3)
2.ゲスト講師の授業のレポート等や最終回に教場で行うまとめレポート(25点)
1.と2.を合算して、100点満点で評価する。
*詳細な評価方法については、第1回目のオリエンテーションで周知する。
【教科書】
講義全体を通じた特定の教科書は指定しない。
【参考文献】
授業中に適宜指示する。
【特記事項】
 授業中の私語、遅刻、途中退席など、講義の進行を妨害し、他の履修生の学習を妨げる行為については厳格に対処する。

開講期 曜日時限 ペア 教員名
1期 水2 榎 基宏
1期 水2 大貫 敬一
1期 水2 早尾 貴紀