教養入門(水2)
榎 基宏、野田 淳子、早尾 貴紀 
単位: 2 開講期: 1期 開講年度: 2015
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【授業表題】
常識を問い直す
【授業の形態・方法・内容】
 「教養」は大学での学習の基礎であるだけでなく、自律的で自由な人格を形成するための土台でもある。この授業では、いま求められている「教養」の意味について、3名の教員が、各々の問題関心や専門領域を切り口として、交代で論じていく。受講者は、講義の内容を通じて、今後、大学や社会との接点で自分なりに考えるきっかけ作りと訓練にあててほしい。

 担当教員と講義テーマは、以下を予定している。
*( )内は当該教員が本学で担当する主な授業名、もしくは主な専門領域を表す。

1.榎 基宏(物理学・天文学):
「寺田寅彦のエッセイを読み、災害や自然と人間の関係について考える。寺田は第二次世界大戦前に活躍した物理学者であるが、文学や芸術に造詣が深く、一般向けに分かりやすく科学を解説したエッセイを多く書き残した。この講義では、災害と人間をテーマとした寺田のエッセイをいくつか読み、寺田が指摘する『災害について一般にイメージされることや常識とされることと、現実の災害で起こったこととの違い』に注目して、災害時における人間の心理と行動について学ぶ。そして、この学びを通して、『自然界の現象』と『人間界の現象』の関係について考えていくこととする」

2.野田淳子(心理学):
「『待機児童ゼロ』や『早期教育』など、世の中には耳触りの良いフレーズが溢れている。しかし、その実現が子どもの心や家族関係の育ちにどう関わるのかといった問題は見逃されがちである。本講義では、そうした社会的なトピックスの背景にある人の心や行動、その変化のしくみを客観的に検討する心理学の方法について学ぶことを通して、心が育つ環境はどうあるべきかという問題にアプローチする。私たちは誰しも、自らが信じるパーソナル・セオリーを有しているが、そうした『主観的常識』から一歩引いた視点から『常識とは何か』を問うことによって、新たな視点と対話の可能性を探っていきたい」

3.早尾貴紀(世界政治論):
「パレスチナ/イスラエル問題を通して、近現代史を再考する。『2000年来の宗教対立』や『聖地の奪い合い』といったような二つの民族が敵対しているかのような報道が繰り返されているが、果たしてそれは史実と現実に照らしてどれだけ歪んでいるのか。日本に住む私たちとは無関係な別世界の紛争のように語られるが、本当にそうなのか。第一次・第二次世界大戦を経て、また戦後の世界秩序のなかで、ユダヤ人問題やパレスチナ問題がどのように発生・展開していったのか、同時代の日本はどのように関わってきたのかを確認しつつ、また紛争報道の妥当性を検証する」
 
【到達目標及びディプロマポリシーとの関連】
1.大学における専門課程の学習の土台を成す「教養」の基本的な考え方、活かし方とその重要性を理解する。
2.「教養」が現在の重要な社会的課題と密接に結びついていることを理解し、学問と社会のかかわりについて認識する機会とする。
【事前・事後学習】
 各担当教員が講義中に配布した資料については、次回までにその資料全体を受講者各自がもう一度通読しておくことを最低限の復習課題とする。また次回講義用に配布した資料についても、同様に次回講義までに通読をして授業に臨むこと。
【授業計画】
1.第1回目はオリエンテーション。
2.第2回目以降は、3名の教員が4回ずつ講義を行う。担当教員順はクラスにより異なる。
3.その間に、ゲスト講師の講義を1回行う。
4.以上をふまえて、最終回(第15回)では全体のまとめとして教場レポートを課す。
*詳細な授業日程については、第1回目のオリエンテーションで周知する。
【評価方法】
1.平常点:3名の担当教員が自己の担当授業についてそれぞれリアクションペーパー、小テスト、レポート等を課し、その成績を25点満点で評価する。(25点×3)
2.ゲスト講師の授業のレポート等や最終回に教場で行うまとめレポート(25点)
1.と2.を合算して、100点満点で評価する。
*詳細な評価方法については、第1回目のオリエンテーションで周知する。
【教科書】
講義全体を通じた特定の教科書は指定しない。
【参考文献】
授業中に適宜指示する。
【特記事項】
 授業中の私語、遅刻、途中退席など、講義の進行を妨害し、他の履修生の学習を妨げる行為については厳格に対処する。
【開講期・曜日時限・ペア・教員名】
開講期・曜日時限が下記の表で示されていますが、履修できる曜日時限は学年・学科等により異なる場合があります。自分の「履修登録」画面に表示される曜日時限のみ履修登録することができます。

開講期 曜日時限 ペア 教員名
1期 水2 早尾 貴紀
1期 水2 野田 淳子
1期 水2 榎 基宏